大腸がん

大腸がんの特徴とは?主な症状や検査方法について解説

「最近、おなかの調子がよくない…」

おなかの不調が続くと、腸の病気かもしれないと不安に感じる方もいるでしょう。

大腸がんは腸の代表的な病気の一つです。

がん全体のうち、大腸がんで亡くなる方は肺がんに次いで二番目に多いですが、早期発見ができれば完治が見込めやすいのが特徴です。

この記事では、大腸がんの特徴や初期症状、検査方法についてわかりやすく解説します。

症状が気になる方や受診を検討している方は、ぜひチェックしてみてください。



大腸がんとは?大腸がんの3つの特徴

大腸がんは、大腸(盲腸から直腸までの約1.5~2mの管状の消化管の総称であり、摂取した食べ物から水分を吸収して便をつくる臓器)に発生するがんです。

図1 大腸の構造  
参照:がん情報サービス

2018年の調査では、大腸がんの死亡者数は、がん全体でみると男性では3番目女性では最も多いことが報告されています。

※参照:国立がん研究センター中央病院 大腸がんとは

ただし、早期の段階で治療できれば、完治が見込めるのも大腸がんの特徴です。

一つずつ見ていきましょう。

がんの進行によって治療方法が大きく異なる

大腸がんは、がんの進行によって選択される治療法が異なります。

大腸がんは大腸内側の粘膜に発生し、進行するとサイズの増大や近くのリンパ節、肝臓や肺などの臓器への転移を引き起こします。

早期であれば内視鏡による治療が可能な場合もありますが、サイズが大きかったり、ほかの臓器への転移がみられたりした場合には、手術や放射線治療などが検討されます。

できるだけ早い段階で見つけることが大切です。

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加齢や生活習慣の乱れによって発症のリスクが高まる

大腸がんは、加齢や生活習慣の乱れによって発症するリスクが高まるがんです。

発症のリスクは40歳から高まり、50歳を超えると急激に上昇することが報告されています。

また、以下のような要因もリスクを高めることが指摘されています。

・肥満(BMI25以上*)
・過度な飲酒
・喫煙

・運動不足

※参照:国立がん研究センター中央病院 大腸がんとは

*BMI:体格の指標。体重(kg)÷身長(m)の2乗で計算される
日本肥満学会の基準では、18.5〜25を正常、18.5未満を低体重(やせ)

※参照:厚生労働省 BMI

生活習慣の改善や定期的な健康診断によって、予防や早期発見に取り組むことが重要です。

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早期の治療であれば治る確率が高い

大腸がんは、早期に治療できれば、比較的治りやすいがんと言われています。

図3 消化器がんの5年生存率 比較
参照:がん情報サービス がん統計 大腸

限局、領域、遠隔の定義

  1. 限局:がんが大腸にとどまっている

  2. 領域:大腸がんが周辺のリンパ節に転移している、または隣接した臓器に広がっているが、遠く離れた臓器には転移がない

  3. 遠隔:遠く離れた臓器に転移がある

大腸がんの5年生存率(5年経った時点で生きている方の割合であり、がん治療における生存率の指標)は、限局であれば約97%と高いです。

大腸がんで亡くなる方は多いですが、早期に発見できれば治りやすいがんと言えるでしょう。

大腸がんの初期症状、進行がんの症状

大腸がんは早期の治療が重要ですが、初期段階では自覚症状がない場合がほとんどです。

大腸がんになると、以下のような症状がみられる場合があります。

大腸がんの症状

血液が混ざった便(血便)

下血(出血にともなう貧血)

便秘

下痢

おなかの張り

便が細い、便の残っている感覚がある

ただし、症状があらわれた時点で、すでに進行しているケースも少なくありません。

上記の自覚症状や明らかな違和感がある場合は、できるだけ早めに消化器科を受診しましょう。

大腸がんの検査方法

大腸がんの診断でおこなわれる検査は、以下のとおりです。

検査リスト メリット デメリット
便潜血検査

・簡便で受けやすい

・低コスト(2000円以内)

・身体への負荷が少ない

・出血をともなわない早期の大腸がんやポリープでは発見が難しいケースもある

・出血しているときには検査ができない(痔や生理中など)

大腸内視鏡検査

・小さな病変を見つけやすい

・小さなポリープであれば切除できる場合もある

・身体に大きな負担がかかる

・出血や穿孔(腸に穴が開く)のリスクがある

注腸検査

・病変の広がりを確認しやすい

・出血や大腸に穴があくリスクが低い

・前処置をする必要がある

・放射線被ばくをともなう

CT検査

・血管情報や全身の転移の有無を把握しやすい

・検査時間が短い

・造影剤アレルギーのリスクがある


・放射線被ばくをともなう

CTC (CTコロノグラフィ)検査

・内視鏡検査をおこなえない方でも検査できる

・下剤の使用が厳しい高齢者でも検査できる

・内視鏡検査に比べて小さい病変は見つけにくい

・放射線を使うため被ばくする

PET検査

・身体への負担が小さい

・がん病変の検出能力が高い

・全身におけるがんの有無を一度で確認できる

・検査費用が高額(自費負担で10万円)

・放射線被ばくをともなう

・評価が難しい部位もある(脳や膀胱など)

MRI検査

・大腸がんの転移(肝臓、脳など)の有無を把握しやすい

・被ばくをともなわない

・検査時間が長い

・体内金属があると検査ができない場合がある

それぞれ見ていきましょう。

便潜血検査

便潜血検査は、便に血液が含まれていないか確認する検査です。

がんは、もろく出血しやすい血管を新しくつくる性質があります。

一方で、出血をともなわない早期の大腸がんやポリープなどでは、発見が難しい場合もあります。

大腸ポリープの一部は、がんに変化することもあるため、一度だけではなく定期的な検査を受けることが大切です。

検査費用の補助が受けられる場合もあるので、あらかじめ自治体のホームページを確認しておくことをおすすめします。

大腸内視鏡検査

大腸内視鏡検査は、肛門に内視鏡を挿入して、大腸の内部を観察する検査です。

大腸の内部を観察するため、内膜に生じた早期のがんやポリープの発見に適しています。

内視鏡で疑わしい箇所があれば生検(組織の採取)をおこない、生検で採取した病変は、病理検査(組織に含まれる成分を調べる検査)をおこない、がん病変の有無を確認します。

また、サイズの小さいポリープであれば、検査中に切除できる場合もあります。

ただし、内視鏡検査によって大腸からの出血や穿孔(穴があくこと)が生じるリスクもあります。

確率はきわめて低いですが、検査後に出血がみられたり、腹痛があらわれたりした場合は、ためらわず、医療機関に相談してください。

検査に抵抗がある方もいるかもしれませんが、検査したことがない方は一度受けたほうがよいでしょう。

注腸検査

注腸検査は、肛門から造影剤と空気を注入し、大腸の形状を観察する検査です。

がんの広がりを観察する目的で実施されますが、近年では、内視鏡検査が選択されやすい傾向にあります。

注腸検査は、手術後で内視鏡検査による出血や穿孔のリスクが高い場合や、癒着により内視鏡を大腸の内部に挿入できない場合に実施されることが多いです。

注腸検査は、腸の内部に便が残っていると病気の判断が難しいため、下剤や腸の動きを止める薬剤による事前の準備が必要な場合があります。

また、検査後は造影剤は検査後は不要な薬剤であるため、早めに身体の外に排出することが大切です。

十分な水分補給を心がけ、下剤を処方された場合は使用しておきましょう。

CT検査

CT検査は、360°方向からX線を当てて、身体の輪切り画像を撮影する検査です。

主に以下のような目的で撮影される場合が多いです。

・大腸がんの精密検査(がんの大きさや周辺臓器への広がり、離れた臓器への転移の有無)
・手術前の全身状態の把握(健康状態や血管・臓器に異常がないかの確認)

CT検査では、造影剤(血管や臓器を観察しやすくするための医薬品)が使われるケースもあります。

造影剤は、糖尿病や腎臓病、気管支喘息、造影剤での過去の副作用歴がある方が使用すると、副作用が起こりやすくなることが報告されています。

また、X線を使用した検査であるため、妊娠中の女性でも実施できない場合があります。

治療中の病気がある方は、前もって医師に伝えておきましょう。

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CTコロノグラフィ (CTC)検査

CTコロノグラフィ(CTC)検査は、大腸に特化したCT検査です。

肛門から炭酸ガスを注入し、大腸を膨らませた状態でCT撮影をおこないます。

CTC検査では炭酸ガスを使用するため、内視鏡検査で痛みが生じる方でも痛みを感じにくく、内視鏡を使用できないケースでも検査が可能です。

一方で、内視鏡検査に比べて小さな病変が見つけにくい場合もあります。

CT検査と同様に、副作用のリスクが高い方や妊娠中の女性では、検査ができない場合もあります。

当てはまる場合は、あらかじめ医師に伝えておきましょう。

PET検査

PET検査は、放射性物質を含む医薬品を使用して、体内に集まった部位を観察する検査です。

がんの診断では、通常、ブドウ糖と放射性物質がくっついたFDG(フルオロデオキシグルーコス)と呼ばれる放射性医薬品が利用されます。

がんは大きくなる過程でブドウ糖を必要とします。

投与した医薬品はがんに取り込まれ、医薬品から放出される放射線の位置情報をもとに、がんの部位を特定するのです。

PET検査では検査前の約4〜5時間の絶食が欠かせませんが、医薬品の注射と撮影で済むため、身体への負担が小さい検査です。

一度に全身を調べることができますが、脳や膀胱などの医薬品が集まりやすい臓器やブドウ糖を消費しづらいタイプのがんでは発見が難しいと言われています。

検診でPET検査を受ける場合は自費負担となり、約8〜10万円と高額なことも覚えておきましょう。

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MRI検査

MRI検査は、磁石と電磁波によって身体の状態を画像化する検査です。

大腸がんでは、主に大腸がんの転移を調べる目的で実施されます。

なかでも、肝臓は大腸がんの転移がみられやすく、実施されるケースが多いです。

MRI検査は、金属類が持ち込めないため、体内に入っている金属によっては検査できない場合もあります。

がんの転移があるかどうかは、治療法の決定に重要です。

直接的には関係ないように感じるかもしれませんが、医師の指示に従って受けましょう。

自覚症状の有無にかかわらず大腸がんの検査を受けよう

大腸がんは、早期に発見し治療ができれば、比較的治りやすいがんです。

ただし、初期の大腸がんは自覚症状に乏しく、血便や下血などの症状があらわれたときにはすでに進行しているケースが少なくありません。

おなかの違和感を自覚している場合は、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。

また、大腸がんは加齢にともなって発症しやすく、40歳から発症のリスクが高まります。

できるだけ早い段階でがんを発見するためにも、検査を受けて予防に努めることが大切です。

早い段階でがんの発症に気づくには、定期的な便潜血検査大腸内視鏡検査などが有効です。

大腸がんの検診ガイドラインによると、定期的な便潜血検査の実施は大腸がんによる死亡リスクの低下につながることが証明されています。

がんの早期発見のためにも、1~2年に1回を目安に検診を受けることをおすすめします。

40歳以上で大腸の検査を受けたことがない方は、ぜひ一度検査を受けましょう。

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  • この記事を書いた人

さとし

現役の放射線技師。がん特化病院に勤務するかたわら、医療系WEBライターとして記事を執筆中。 三度の飯より読書が好き。